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セントスタッフ株式会社 介護系BLOG
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[2006年06月07日]
死に逝くとき
みなさん、初めまして。今年で3年目の教育研修部の仙田涼子と申します。もうすっかり梅雨の季節ですね~。うちのアジサイも徐々に咲き始めています。梅雨の雨は農作物や花にとってまさに恵の雨なんです。雨に濡れたアジサイはとてもきれいですよね。雨ばっかりで嫌という方は、ちょっと草木に目を向けてみてはいかがでしょうか。
私は、1年目は特養にいましたが、今は訪問入浴でケアエイドをしています。訪問入浴歴は2年近くです。先々月、長年ご利用してくれていた利用者さんが亡くなりました。そのときの出来事が生涯忘れることができないくらい脳裏に焼き付いています。
その方は、事故で脊椎損傷となってしまい、訪問入浴を利用する形になりました。奥さんと2人きりの生活をしており、体の不自由なご主人のために一所懸命介護をしている素敵なご夫婦でした。その方はものすごく頑固でしたがものすごくお風呂が好きな方でした。(1日2回はお風呂に入っていたし、入浴したいがために無理やり退院してくるほど…)
どのくらい頑固かというか、難しいというか、とにかく気に入らない看護師やケアエイドが来れば「2度と来るな!」と言って追い返すほどでした。
実際に私も最初の頃その方から「何度言ったら分かるんだ!ほんとにケアの資格持ってるのか!」などかなりきついお言葉を頂いたのを覚えています。
最初の頃は言われるたびにショックでやる気がでなくなっていたのですが、ふと自分で「何でこんな風に言うのだろうか、あー、事故でいきなり動けなくなったらもどかしいよな。不手際なケアはイライラするに決まってるよな」と思うようになってからは、何言われても平気になりましたし、きつい言葉もその方なりのコミュニケーションと捉えてました。私はただ、全力で訪問入浴するのみ!って感じで。
そんな暴言?に近い会話のやりとりをしばらく続けていたのですが、今年に入ると入退院を繰り返すようになりました。脊椎損傷になる前に膀胱癌を患っていたのと、既に片肺が機能していない状態だったのがあり、自宅に帰ってきても、以前のような元気さはなく、目はうつろ、呼吸は浅く、奥さんも私たちもそして本人でさえも、「もうもたない」と感じていました。
そして…
4月25日(火) 13:30
普段どおり、私たちはお宅に伺いました。
看護師がバイタルを計ったのですが血圧は低く、体温も34度台。ご飯も食べてないし、尿も出ていない。
体調の様子から入浴するのは難しいかもとご本人に説明すると、
本人は思いっきり首を振り「いや、絶対入る!」と。
奥さんにそのことを伝えると「本人の意思に任せますので入れて下さい」という返答でした。それでも体をどっぷり浸かるのは、負担になるので、足だけ浸るような形で洗髪や洗体をしましょうということになり、私は洗髪をし始めました。
…頭を持ち上げた瞬間、自分の体がびくっとなったのが分かったのと同時に
「ああ、もうじき死ぬ人ってこんな感触なんだ」とふいに思ったのです。
感触が普通の人肌ではなく、ゴムを触っているようだったのです。全身がひどく浮腫んでいたんです。
同日 14:30
それでもとにかく洗髪や洗体を終え、お風呂から上がったあと、本人に「どうでしたか?」と伺ったら「全然気持ちよくない!体浸かってないし」と返ってきました。
私は「また今週の金曜には入れたらいいですね。また来ますね!」と本人に挨拶したら、本人はしっかり頷いたので、まだ大丈夫かなとこのときは思いました。けれど…
同日 15:00
直接の死因は分かりませんが、訪問入浴を終えたわずか30分後に息を引き取られたそうです。
65歳でした。
のちに奥さんから伺ったのですが、4月からの介護保険改正の書類や訪問看護の継続に対し、本人が、
「もうそんなことやらなくていい。訪問看護も来なくていいから。おまえ(奥さん)には苦労かけたな」など言ったそうです。
人間って自分がもうじき死ぬこと分かるんですね。そりゃ、自分の体を一番知ってるの自分だもんと言われればそうですが。その方は本当にお風呂が好きで、死ぬ前にお風呂に入りたいという思いで、私たちが来るのを待っていたのかなと思うと切なくなります。今思うとあのときご本人は「早く!早く!」としきりに言っていました。早く入れてくれないともうもたないという意味だったのでしょうか。「あのときお風呂に浸からせればよかった」このことだけが少し後悔してます。
介護の現場って、生きる喜びもあれば、死ぬ寸前までその方のケアができるそんな貴重な場所に私たちは日々立っています。その人が最後その人らしく死ねるか、少しでもその手伝いができたら、介護職として本望な気がします。
先月、弔問したとき「最後の最後にお風呂に入れてよかったです。ありがとうございました」と笑顔で言ってくれた奥さんの顔が救いでした。





